国際展示会「Milano Design Week 2018, Fuori Salone 2018」 『RESONANCE MATERIALS Project ~ 素材の乗算』の帰国報告展
多神教の国である日本では、あらゆるモノに精霊が宿り、それは八百万の神と呼ばれます。アートとは本来、モノに精霊を宿す術であります。もはや我々のコントロールを超えたテクノロジーとIOT 化によって、実感のないままに、生活が急速に変化しつつある現在、私達は身体感覚の拠り所をどこに置けば良いのでしょう。 本プロジェクトは、ヴァーチャルなメディウムが発表され続ける社会に対して、もっと現実の素材へ目を向けることを提案します。我々は、原初的に素材が持っている造形されることへの抵抗を、アートを通し、触覚性の復権、実体感の再認識を試みます。参加アーティストは、使う素材〈ガラス、楠や檜などの木材、七宝、石材、マニュキュア、鋼、真鍮、ステンレス〉の内なる声を聞くことで、製作行為をも作品の一部とし、素材解釈へのヒント、造形へのヒントという価値を見出そうとしています。 我々は、このプロジェクトに共感するすべての方々とエンゲージメントし、共同で何かを行うための土台作りをはじめたいと思います。ミラノサローネデザインウィーク 2018 を出発点とするこのプロジェクトは、まずは皆様と日本的な感性で、素材に宿る何かを感じることからはじめます。 素材に触れるという身体感覚下において、単に素材を掛け合わせるということではなく、複合的に扱われた素材が、独自の技術やアーティストの感性と共鳴し、見る人との間に共感する価値を生み出すことを試みます。このプロジェクトにおいて、同じ時間、同じ空間を共有し、“ 感じる ” コトは、人と人に体験する価値を認知させ、様々な事象とのコミュニケーションのあり方を追求していくことでもあります。
●Date 2018年5月27日(月)~6月12日(木) Open 12:00~20:00 Closed Sat.&Sun.
●Description
<出品者> 地村 洋平(ガラスアーティスト・東京藝術大学教育研究助手) 藤原 洋人(木工芸作家・東京藝術大学非常勤講師) 田中 航(金工作家・東京藝術大学非常勤講師) 前田 恭兵(七宝作家・東京藝術大学非常勤講師) 大塩 博子(壁画アーティスト・イラストレータ・東京藝術大学教育研究助手)
<クリエイティブディレクター> 佐藤史能 (株式会社ムラヤマ)
<プロデューサー> 福田 龍典(感動創造研究所 所長) 三枝 一将(東京藝術大学 藝大ファクトリーラボディレクター)
<監修> 日比野 克彦(東京藝術大学 先端芸術表現科教授 美術学部学部長) 藤原 信幸(東京藝術大学 工芸科科教授 美術学部副学部長)
・2018年5月27日(月)~6月12日(木) ・対象者:一般 ・参加費:free
●Location 東京藝術大学取手校地藝大食堂GALLERY 〒302-0001 茨城県取手市小文間5000番地
○Access 《スクールバス》取手駅東口・4番乗り場→芸大着。 《大利根交通バス》取手駅東口・2番乗り場→「東京芸大前」下車。 ※最新のバスの時刻表は東京藝術大学webサイトで確認できます。
●Contact Information:藝大ファクトリーラボ
●Organization:藝大ファクトリーラボ&感動創造研究所
素材に向き合う5名の若手アーティストの作品による、共振の場を提案します。
<出品作品説明>
anima 木×アルミ×香
1200 度の蜂蜜のようなガラスの中で金属を溶かしながら、偶然の形を封じ込める。液体と固体の間を彷徨い、恣意と作為の間で 生み出された透明な物体は、どこかの惑星に生まれた原初の生命体のようだ。光を放つ生命体のようなガラスの塊は、外的な音によって反応し、あなたとコニュミケートすることができる。
ガラス 地村 洋平(ちむら ようへい) ■1984 年千葉県千葉市生まれ ■東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程 美術 ■受賞 野村美術賞/サロン・ド・プランタン賞
梯子を反転させる。 Inverted the Ladder 木×アルミ×香
地面と垂直に育った木材を、旋盤で水平方向に削り、それを垂直に二等分する。木に閉じ込められていた時間が匂いとなって空間に立ち込める。匂いとともに見えてくるのは、形か輪郭か、痕跡となった行為だろうか?切断された梯子が、反転して脚立となったとき、あなたの身の回りにあるモノの感じ方が少し変わるもしれない。
木工 藤原 洋人(ふじわら ひろと) ■1982 年東京都世田谷区生まれ ■東京芸術大学大学院美術研究科木工芸専攻修了
ゆらめく Shimmer 金属×木×音
ゆらゆらと揺らめき、チラチラ光る。互いにぶつかり、キラキラと音がなる。視覚的な音、聴覚的な光が空間に響く。その時私達は見えない光を聞き、聞こえない音を見ることができるだろうか?
*バシェ兄弟とハリー・ベルトイア、バルセロナ大学のマルティ・ルイツに、リスペクトを捧げて
金工 田中 航(たなか こう) ■ 1978 年東京都日野市生まれ ■東京藝術大学大学院美術研究科鍛金専攻修了
■受賞 サロン・ド・プランタン賞
眼を視る Looking into the Eye 釉薬×銀線×反射
眼球は、人間の持つ最も美しい感覚器の一つである。金属板にガラスを焼き付け重ねていく七宝技法は、金属の反射とガラス釉薬の透明
感が重なり、まさに眼球のような、みずみずしさと光を描き出す。眼は心の窓と例えられる。あなたの眼は何を映し出していますか?あなた自身の眼で視てほしい。
七宝 前田 恭兵(まえだ きょうへい) ■1984 年兵庫県西脇市生まれ ■東京藝術大学大学院美術研究科彫金専攻修了 ■受賞 「第5回タグボートアワード」小山登美夫審査員特別賞
建前と本音 Two-Sided 大理石(カッラーラ)×マニキュア×言葉
「今日も、思ってもいないことを言ってしまった。」と彼女はつぶやく。音となって消えてしまう言葉は、しかし、心に深く残り続ける。表裏うらはらな彼女の言葉は永い時によって 堆積した石に刻まれて、現実世界の重さを得た。どうぞ、鏡の前に立ち、重いフキダシを手にとって顔の横にかざしてみて下さい。あなたが発したいのは表と裏、どちらの言葉ですか?
壁画 大塩 博子(おおしお ひろこ) ■ 1983 年東京都練馬区生まれ ■東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻修了
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